日本では毎年のように大きな自然災害が発生し、さらには建物が倒壊するような大地震のリスクがどの地域にもあります。それにもかかわらず、半数の家庭が防災対策をしておらず、実際に被災してから「備えておくべきだった」と、後悔するケースも少なくありません。
そこでここでは、いつやってくるかわからない地震や台風、水害などに対して、どのような備えをしておくべきかについて、最新の情報を3回にわたってご紹介します。
前編では「災害時の避難やライフラインの基本」について、中編では「災害時に備えておくべきことや避難時の注意点」について、後編では「タワーマンションにおける防災」について、の3部構成となっております。自然災害が起きたときに慌てず対応できるように、しっかりと頭に入れておいてください。
■自然災害が発生した場合は在宅避難が基本
地震や台風などの自然災害が発生したら、避難所に避難するのが基本だと考えている人もいるようですが、避難所に入れる人数には限りがあります。たとえば東京都内の避難所は3,200ヶ所ありますが、収容できるのは約320万人までとなっています。
自然災害が発生したからといって、すべての人が避難所に避難すると、すぐにパンクしてしまい、下記のような本当に避難しなくてはいけない人が行き場を失ってしまいます。
・地震などで倒壊などのおそれがあるので自宅にいられない
・大雨により浸水被害や土砂災害などが起きるかもしれない
確かに避難所は耐震強度も高く、安全な場所ですが、
自宅に大きな問題がなければ「在宅避難」とするのが基本です。それだと必要な支援を受けられないのでは?と思う人がいるかもしれませんが、避難所で登録しておけば避難者としてカウントされ、支援物資を受け取れます。
もちろん、夜間に被災して自宅の安全性がわからないというような場合に、一時的に避難所や避難場所に避難するのは問題ありません。ただ、その後の避難生活は原則として自宅で行うことになると考えてください。
■ライフラインの復旧にかかる日数と備えが必要な理由
大規模な自然災害が発生した場合、多くのケースで電気や水道といったライフラインがストップします。このため自然災害に対する備えとしては、
ライフラインを使えなくなることを想定した備蓄が必要になります。
そこで、ここでは大規模な自然災害が起きたときに、ライフラインがどれくらいで復旧するのかについてご紹介していきます。
電気:全復旧に6日程度
上水道:1週間〜1ヶ月
下水道:最大1ヶ月
都市ガス:最大2ヶ月
通信:数日〜2週間
地域や災害の規模によって復旧するのにかかる時間は異なりますが、一般的にはこれくらいの日数がかかるとされています。電気は比較的早く回復しますが、都市ガスは復旧までに時間がかかり、地域によっては2ヶ月近くかかって、ようやく使えるようになるケースもあります。
「うちは災害に強い家だから大丈夫」と思っている人もいるかもしれませんが、建物に問題がなくても、ライフラインは自宅以外の場所が原因で止まるケースがほとんどです。
東日本大震災では宮城・岩手・福島の3県、約258万戸のほぼすべてが停電し、95%復旧するまで約1週間かかっています。
たとえば1ヶ月もトイレを使えないという状況を想像してみてください。とても不便な生活になるのが容易に想像できますよね。ただ、そのような状態も備えがあれば、ある程度は不便さが軽減されて、ストレスによる疲労も抑えられます。
災害時に多少の不便が発生することは仕方ないにしても、備えておくだけで不便さを少しでも解消できるなら、今からでもしっかりと備えておきたいところですよね。そのためには、まず防災に対する意識を変えることからはじめましょう。
中編では、災害時に最低限必要となる備えについてご紹介いたします。